救急医が導く精神医療

 当院は精神科と心療内科、内科があり、急性期医療、身体合併症対応、地域医療貢献を3本の柱に掲げています。精神疾患は身体的な合併症を伴うことが多く、内科的な治療も重要です。

 精神科の患者さんは入院が長期になることもあり、高齢化によって誤嚥(ごえん)性肺炎や足の筋力が弱まり転倒して骨折などが起こり得ます。そうした状態になる前に内科的目線で早期に介入できれば、未然に防ぐことができます。

 専攻医の研修プログラムは、独自に精神科と内科を網羅するカリキュラムを設け、内科の診られる精神科医の育成を進めています。さらに、入院中の患者さんに内科に重点を置きつつ総合的に診療する回診を取り入れています。

 精神疾患と関わることも多い睡眠障害の中には、睡眠を取っていても昼間に強い眠気に襲われるナルコレプシーや突発性過眠症などさまざまな病気があります。昨年、県内初の日本睡眠学会専門医療機関に認定され、症状改善に向けた診療に力を入れています。

 また、当院は県災害派遣精神医療チーム(DPAT)として被災地への出動も行っています。その経験を生かして院内で職員の子どもに対し、災害時にどのように精神疾患の患者を避難させればよいか、問題を解きながら体験するイベントを開きました。今年は地域の子どもを対象に開催する予定です。

 地域に根差した精神医療を目指し、地域の人たちとの交流や情報の発信に努め、精神疾患を理由に困ることがないような医療体制をつくっていきたいと考えています。