自身の経験を話すさとうさん

 ひきこもり当事者の体験談や参加者同士が対話して交流するイベント「ひきこもりUXラウンジ」が、群馬県安中市の市松井田文化会館で開かれた。リラックスした雰囲気の中、当事者や家族、支援者ら約40人が互いの話を聞き合って悩みを共有し、支援について考えた。

 1部は、ひきこもり経験者のさとう学さん(45)=埼玉県入間市=が自身の体験談を語った。さとうさんは小学3年時のいじめで不登校になった。大学まで進学したが、電車に乗れず教室にも入れなかったとし、「中退の魔術師だった」という。

 ひきこもりをやめようと母に頼んで行政に電話してもらって医療につながり、地元の保健所が主催する自助グループにも参加。「同じような仲間に出会えたのが大きかった」と振り返った。

 2部は当事者や家族、支援者がグループに分かれて対話。支援者のテーブルでは「家族は焦ってしまうが焦らないことが大切。本人が動き出すのを根気強く支えている」などと話していた。

 兄が10年ほどひきこもり、自身も生きづらさを抱えているという前橋市の女性(27)は「さまざまな年代の人から話を聞けて生きるパワーになった。ひきこもりになる前に支援の知識を持っていれば、セーフティーネットからこぼれたとしても自ら支援につながれるのではないか」と話した。

 安中市が主催し、ひきこもりや不登校の経験者、性的マイノリティーらでつくる「ひきこもりUX会議」(東京)が運営した。県内開催は3回目。