▼母校の先輩に有名人がいると、ちょっと自慢したくなる。筆者の場合、俳優の渋川清彦さんと小中高を同じ学びやで過ごした。テレビや映画で姿を目にするたびに、わが事のようにうれしい

 ▼来年度に創立150周年を迎える桐生南小を代表する卒業生といえば、講談社を創業した野間清治(1878~1938年)だろう。「日本の雑誌王」と称され、桐生市が誇る偉人である

 ▼同校の隣接地には功績をたたえる「生誕の碑」が立つ。地元の顕彰会や有志でつくる実行委が2005年に建立した。誕生日の12月17日に近い土曜に毎年、記念式典が開かれる。今年は曜日の巡り合わせで当日に実施される

 ▼コロナ禍以前は、同校の「アクターズクラブ」に所属する児童が、野間を題材とした紙芝居を披露してきた。今年も本番に向けて練習してきたが、感染予防のため式典を簡素化することになり、出番がなくなってしまった。それでも同クラブを中心に10人ほどの児童が献花に参加するという

 ▼桜井禎人(さだと)校長は、野間が常に前向きな姿勢で事業に取り組んだことを評価。「諦めなければいろいろなことができる。子どもたちもそういう思いで成長してほしい」と願う

 ▼母校の先輩に限らず、各界で活躍する本県出身者は郷土の誇りである。先人の背中を追いかけるように、大きく羽ばたこうとする子どもが一人でも多く現れることを期待したい。