作品作りに没頭する生徒ら
公開での演奏収録に臨む金子さん(右上)

 障害の有無にかかわらず共にクラシック音楽を楽しむ演奏会が15日、群馬県前橋市の昌賢学園まえばしホール(市民文化会館)で開かれる。群馬交響楽団の生演奏に合わせて児童生徒が作ったはり絵を天井に投影するなど先端技術を取り入れ、感性を多面的に刺激する演出を整えた。全てを包み込むインクルーシブな芸術鑑賞の場が幕を開ける。

 障害のある人にも安心できる空間にしようと、客席にストレッチャーで鑑賞するスペースを設け、演奏中に観客が退出する場合があることを事前に告知する。

 テーマは「音楽×アート×テクノロジー」。県内特別支援学校4校で作ったはり絵をプロジェクションマッピングで投影する中、ラベル「ボレロ」などを奏でる。さらに、演奏者のパフォーマンスを再現できる最新鋭のピアノを導入。高崎市出身のピアニスト、金子三勇士さんが収録した「ラプソディー・イン・ブルー」を自動演奏する。

 投影する絵は、しろがね特別支援学校高等部(前橋市)などで開かれたワークショップで制作。同校の生徒約60人は「星座」をテーマに作った。高橋翔太さん(2年)は会場の暗さを意識し「夜空に咲く花火座」をデザイン。藤田来輝さん(同)は、自作の絵と群響との共演を「気持ち良さそう。うれしくて、すごい」と楽しみにしている。同校の石井良介教頭は「障害の有無なく、初めての経験を大勢で共有できる意義は大きい」と話す。

 自動演奏で曲を披露する金子さんは今月10日、同市の白井屋ホテルで公開収録に臨んだ。初めてとなる本人不在の「出演」に、金子さんは「生演奏とは異なる形で、新たな作品となって届くのが楽しみ」と期待を寄せた。

 演出は同市出身のアートディレクター、田村吾郎さん。「芸術は社会とのつながりとして機能する」と話し、公演後もつながりが継続する取り組みを検討しているという。

 午後3時開演。指揮は昨年大みそかの「東急ジルベスターコンサート」でタクトを振った鈴木優人さんが務める。一般1500円、25歳以下と70歳以上、障がい者手帳を持つ人は1000円。当日券のみで残席わずか。問い合わせは群響(☎027-322-4316)へ。