
上毛新聞社は女性活躍推進に取り組む企業・団体を応援するキャンペーン「WOMAN Next 国際女性デーinぐんま 2023」の一環で3回にわたり、協賛社社員によるミーティングを開催した。今回は女性活躍を担当する記者を交え、「働く女性の現状とこれから」をテーマに各社の取り組みや課題などについて意見を交わした。
品田 可菜さん 赤尾商事総務部総務グループ
土屋みどりさん 赤尾商事総務部経理グループ
小野里方子さん 大樹生命保険前橋営業部
下田 由衣さん 大樹生命保険前橋営業部
藤田真理子さん プリオホールディングス 東京本社
原 弘子さん プリオホールディングス ヴィラ・デ・マリアージュ高崎
働き方を柔軟に
ー 日本は男女の格差を示すジェンダー・ギャップ指数が常に下位だ。特に企業のトップや管理職に占める女性の割合などで格差が顕著だが、各社の状況は。

品田さん ガソリンスタンド運営やLPガス・工業用潤滑油の販売、省エネ事業などを手がけている。従業員約160人のうち30人ほどが女性。管理職は少ないが、近年、採用増に力を入れており、20代の半数を占めるまでになった。育児や介護などライフステージに合わせて働けるよう、制度整備に努めている。

小野里さん 生命保険などを提案しており、女性の職員が多い。管理職はこれまでほとんど男性だったが、最近は女性の営業部長が増えてきている。会社としてもバックアップ体制があり心強い。

藤田さん 高崎市、伊勢崎市、大泉町で婚礼とレストラン事業を展開している。十数年前に女性幹部の育成プロジェクトが始まり、役員は現在、19人のうち5人が女性。女性が大きく関わる事業のため、声が届きやすい会社だ。

原さん 高崎店も先輩方と話しやすい環境。仕事以外の相談にも乗ってもらっている。
ー 働きやすい環境に向けた取り組みや課題は。
品田さん 若手の女性営業職から、育児と営業職の両立は難しいという声を聞く。フレックスタイムの導入など柔軟に働ける環境づくりが必要だ。
小野里さん 基本的な福利厚生は整っている。家族の介護を経済的に支援する制度など、従業員の仕事と家庭の両立に向けたサポートが手厚い。私自身、育児と介護をしながら仕事をしているが、営業職は時間の使い方を調整しやすく、働きやすいと感じている。
藤田さん 仕事柄、週末の業務が多く、子どもの行事と重なることがある。個人面談では従業員のライフプランを聞き、柔軟に対応している。育児環境が整わないことなどから契約社員に切り替え、数年して正社員に戻る人もいる。
窓口や制度必要
ー 女性特有の病気や不妊治療へのサポートは。

土屋さん 病気やけがは傷病特別休暇が適用されるが、不妊治療も対象になるといい。夫婦の問題なので、男性が理解を深めるきっかけを提供したい。女性従業員が増えているため、相談窓口を明確にしておくことも必要だと思う。
小野里さん 15年ほど前、不妊治療を機に前職を辞めた。当時は不妊治療に対する理解が十分でなく、制度を整える必要性を感じていた。

下田さん 社内にも悩みを抱えている人がいると思う。話しやすい環境を生かして生理や病気などの悩みを共有し、会社に要望していきたい。
男性育休進む
ー 昨年10月には「産後パパ育休制度」が始まった。
品田さん 昨年初めて男性育休取得者が誕生した。取得期間は1カ月だったが、自分の仕事を周囲に頼む心苦しさがあったようだ。業務のマニュアル化・共有化を進めるなどサポート体制の構築が課題だ。また、サポートする側を評価する仕組みも大事だと思う。
藤田さん 男性育休は積極的に推進しており、これまでに8人が取得。男性社員によるプロジェクトも立ち上がった。より働きやすい会社に向けて意見を出し合い、システム構築を目指している。
ー ミーティングの感想を。
小野里さん 現在は育児と介護で自分の時間を持てないが、皆さんの話に刺激を受けた。落ち着いたらキャリアアップを目指し、会社に貢献したい。
原さん 働くことへの期待感が高まった。私の母は家族の介護を理由に仕事を辞めている。そうした人を支える立場になれるよう、声を上げて制度拡充を求めていきたい。
ミーティングでは、女性活躍の紙面を担当する上毛新聞社記者が、取材で得た情報を紹介した。
自治体別の男女格差を政治、行政、教育、経済の4分野で分析した「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」(2022年3月公表)で、本県は多分野で30位台と低迷。ただ上位と下位の数値に大差がなく、格差は全国共通であると解説した。
不妊治療では一定数が仕事との両立が難しく離職するとした上で、治療のための「チャイルドプラン休暇」を導入する企業を取り上げた。臂記者は「女性特有の悩みを理解できる方が制度は整いやすい傾向」と話した。

