戦乱の世を生きた徳川家康の生涯を描く8日開始のNHK大河ドラマ「どうする家康」で、群馬県前橋市出身の仏師、関侊雲(本名・勇一郎)さん(49)=富山市=が、木彫りの指導者として制作に携わっている。家康を演じる松本潤さんの木彫りシーンで演技指導をするなど、ドラマの引き立て役として活躍中。関さんは「国民的ドラマに携わることができて、仏師として本当に光栄」と話している。
関さんは東京農大二高を卒業後、富山県を拠点に活動した仏師、故斎藤侊琳さんに師事。仏師の道に入って約30年となる。現在は、富山県南砺市に主な工房を構え、製作活動のほか、弟子の育成や、県内と東京都内を中心とした木彫教室の運営など精力的に活動している。
以前にも俳優の故三国連太郎さん、小林薫さんらを指導した経験があり、今回は2022年4月に打診を受けた。「自分で製作するだけでなく、木彫りの良さや楽しさを伝えてきた成果が認めてもらえた」と話す。
第1話では、松本さん演じる少年期の家康が、木を削ってウサギの木彫りを作るシーンを指導した。撮影は昨年10月、埼玉県新座市の平林寺で行われ、基本的な彫り方や、少年という設定に合わせて身体を小さく見せる構えなどを教えたという。松本さんについて「思った以上に手つきが上手だった。一生懸命、練習をされるので、(けがをしないか)不安だった」と振り返る。
引き続き演技指導や木くずの自然な散り方などの助言をする。演出統括を務めるスタッフと何度もやりとりを重ね、ドラマのために新たに製作した作品も登場する予定。関さんは「松本さんやスタッフの方と話し合いながら、心情に沿った手つきや気合を模索していきたい」と意気込んでいる。