堂々とした姿勢で騎乗する乗馬少年団メンバー
乗馬の準備をする少年団員たち

 完全ビジター制で、入会金不要の県有乗馬施設。小学3年以上を対象に初心者から上級者まで、一人一人のレベルに合わせたサラブレッドの乗馬レッスンを行う。同施設は「乗馬は水泳並みにバランスの良い全身運動。子どもにとっては単なるスポーツではなく、命を慈しみ、思いやりを学ぶことにつながる」と意義を語る。

 1983年開催のあかぎ国体の馬術競技会場跡地に、86年にオープンした。屋外の本馬場は観覧席やナイター設備を備え、各種大会も開かれる。屋内馬場は雨天時も乗馬を楽しめる。2029年に本県で開催される第83回国民スポーツ大会馬術競技会場の有力候補地の一つでもある。

 同施設には元競走馬も多く、ゴールドシップやディープインパクト、オルフェーブルなど一流馬を父に持つ馬もいる。広報によると「血統の強い馬は癖がある場合が多く、初心者が乗りこなすのは難しい」という。

 記者は1月中旬、屋内馬場で栗毛(くりげ)のティアップゼウスに騎乗。ゆっくりとした「常歩(なみあし)」とペースを上げた「速歩(はやあし)」に挑戦し、想像以上の躍動感と非日常的な目線の高さに魅了された。

 小学5年~高校生の「乗馬少年団」があり、馬の世話や馬装などを学びながら乗馬技術の向上を目指している。団員に魅力を聞くと「馬と意思疎通ができて障害物をふわっと飛び越せるとうれしい。将来は日本の在来馬を守る牧場を持ちたい」「最初は(馬が)大きくて怖かったけど、イヌやネコと変わらない。友達と感じるようになった」と話してくれた。

 ポニーも飼育し、3歳以上なら引き馬で乗れる。「当苑は『馬がいる無料公園』。乗らない方も大歓迎で、スタッフに声をかけてもらえれば馬に触ることもできる」と来場を呼びかけている。

【データ】 通常レッスンは1回45分(乗馬前後の手入れが別途15分程度必要)で大人5千円、高校生以下4千円。くらなどの馬具や乗馬靴、ヘルメットは無料で貸し出す。初心者対象の4回コース(大人1万4200円、高校生以下1万2200円)などもある。火曜定休。問い合わせは同施設(☎027-288-7002)へ。

記者のトレンド予測 「最初の1回」気軽さを

 一般的な乗馬クラブは入会金、月謝、騎乗料のほか、道具代も必要となる。馬の世話や人件費を考えれば、経済負担は仕方ないのかも知れない。一方で、馬術は国民スポーツ大会(国スポ)の隔年実施競技になることが決まるなど逆風も吹く。

 裾野拡大には「最初の1回」の敷居を下げることが重要だ。伊勢崎市は本年度、ふるさと納税の返礼品に乗馬体験を加えた。馬を扱うアニメやゲーム人気も追い風に、6年後の地元国スポに向けた盛り上がりに期待したい。