がんの予防に向けて、群馬県桐生市は新年度、ヒトパピローマウイルス(HPV)の男性用ワクチン接種費を全額助成する。市によると、男性への接種助成は県内初という。HPVは女性の子宮頸(けい)がんのほか、男性もかかる肛門がんなどの原因となる。子宮頸がんは性交渉によるHPV感染が発症の要因とされるため、男性のワクチン接種が予防に有効であることも周知する。
市によると、対象は女性の定期接種年齢と同じ小学6年~高校1年相当。接種は1人3回必要で1回当たり約1万7000円かかる。初年度の接種希望は30人程度と見込んでいる。関連事業費150万円を盛り込んだ新年度一般会計当初予算案が、市議会3月定例会で可決された。
HPVはありふれたウイルスで、性交渉する年齢になると男女関係なく感染する。ワクチンは厚生労働省が2013年4月、女性を公費で受けられる定期接種の対象とした。接種後、全身の痛みといった症状を訴える人が相次いだため、積極的な接種勧奨を中止していたが、昨年4月から「接種による有効性が副反応のリスクを上回る」として再開している。
男性については、同省が20年にHPV4価ワクチンの適応に追加したが、自費による任意接種の扱いとなっている。
市は小学6年生向けのチラシ、広報やホームページなどで男性への助成について周知を進める予定。
市子育て相談課は「助成することで、市民に子宮頸がんの要因や男性がワクチンを接種する意義を知ってもらえるメリットがある」と説明している。