28日に自作の初演を迎える山辺さん

 現代音楽の若手作曲家の登竜門、武満徹作曲賞の本年度ファイナリストに山辺光二さん(32)=群馬県前橋市=が選ばれた。山辺さんは選出に驚きつつも「音楽の深い世界や生演奏の魅力を地方でつくり、届けたい」と話す。28日の本選に都内で世界初演され、本年度受賞作品が決まる。

 武満徹作曲賞は、35歳以下が対象で、オーケストラのための作品コンクール。現代音楽作曲の重鎮、近藤譲さんが審査する本年度は、107作品から山辺さんとスペイン、イギリス、中国の作曲家4人が残った。2013年度には同市出身の神山奈々さんが第3位に選ばれている。

 山辺さんの作品は「Underscore(アンダースコア)」。「静かで、不思議な音の世界」を表現した。「いつの間にか時がたっている『時間芸術』を表したい」と、約1年をかけ創作。作品の長さを規定最小限の10分間にし、「このひとときをどれだけ長く聴かせられるか」に挑戦した。自作のオーケストラ演奏は国立音楽大大学院の修了作品以来となる。

 4年ほど前に東京から帰郷し、作曲の傍ら音楽大受験生らを指導している。通信技術が高度化し、音楽芸術でも東京と地方との情報格差は埋まりつつあると感じたが、「半面、生の空間に触れる機会が減っているのではないか」と危惧する。「多くの人が生の音楽の魅力を探しに出かけたくなるような働きかけを積極的にしたい」と話し、「音楽の深く難解な世界を、前橋から」と、今後の活動にも意欲を見せる。

 28日は東京オペラシティコンサートホールで、角田鋼亮さんが指揮し、東京フィルハーモニー交響楽団が演奏する。