若手音楽家の登竜門、武満徹作曲賞(東京オペラシティ文化財団主催)の本選演奏会が28日、東京都内で開かれ、山辺光二さん(33)=群馬県前橋市文京町=の作品「Underscore」が第2位に選ばれた。本県関係者の最高順位となる。山辺さんは「多くの反省を生かした数年が報われ、少々ほの暗い人生に一筋の光が差し込んだよう」と喜んだ。
山辺さんは国立音楽大大学院を首席で修了。大学院在学中の2014年に、第33回ぐんま新人演奏会に出演した。今年1月には、クラシック音楽や華道など複数の分野の芸術表現が共演したアートライブで、編曲を手がけるなど活躍の幅を広げている。
同賞は35歳以下を対象に、毎回1人の作曲家が審査する。今回は31の国と地域の音楽家から107作品が集まり、近藤譲さんが審査員を務めた。
山辺さんを含む4人のファイナリストの作品は同日に都内で世界初演され、聴衆から大きな拍手が送られた。審査の結果、第1位は英国のマイケル・タプリンさん(31)、第2位は山辺さんとスペインのギジェルモ・コボ・ガルシアさん(31)、第3位は中国のユーヘン・チェンさん(24)だった。
山辺さんの作品「Underscore」について近藤さんは、「音楽は遊びだという考え方に徹していると感じた。聴いている人もその楽しいゲームに参加できるという種類の音楽」と評した。
ファイナリストの作品は、NHK―FMのラジオ番組「現代の音楽」で、7月16、23両日に放送される。24年度は英国の作曲家、マークアンソニー・ターネジさんが審査する。