群馬県は9日、優れた嗅覚で人間の病気を発見できる探知犬を育てるため、医学分野の研究者を公募すると発表した。ペットの活躍の場をつくり人との共生につなげる。

 全国から研究者を公募し、最大2件の採択を予定する。研究期間は3年間で、研究費は1件当たり最大3000万円。犬は県が提供する。

 採択された研究者は、県内にある訓練所や医療機関などと連携して研究する。基本的な訓練から始め、成長に従って病気の探知訓練を進めていく。対象の疾患はがんやパーキンソン病、てんかん、新型コロナなどを想定。育成プロセスは公開する。募集期間は7月28日まで。

 県によると、新型コロナのPCR検査は1回あたり数万円の費用がかかり、偽陰性や偽陽性もあるため判定率は7割程度にとどまる。一方、フィンランドのヘルシンキ空港を視察した際には、探知犬が瞬時に判定し、判定率も9割以上だったという。コストや時間がかからないため、日本でも活用の可能性があるとしている。ヘルシンキ大の教員から研究への助言を受けることも検討している。

 山本一太知事は9日の定例会見で「フィンランドで視察して可能性を感じた。群馬県から探知犬を育て、ペットとの共生というコンセプトを全国に発信したい」と話した。