太平洋戦争の沖縄戦の犠牲者を追悼する「沖縄慰霊の日」(23日)に合わせ、沖縄県糸満市で日本遺族会などが実施する「平和祈願慰霊大行進」に、群馬県桐生市遺族会から遺族が10年ぶりに参加する。同会理事の和田清美さん(60)=同市天神町=が行進など慰霊行事に出席し、桐生織の生地で折った鶴を現地の施設に納める予定。「群馬と桐生を象徴する折り鶴を届けることで、遠い地域の県民が沖縄の犠牲を忘れていないと伝えたい」と語る。
和田さんの祖父、木島正三さん(享年40)は太平洋戦争中の1945年にトラック諸島で戦死。2018年に亡くなった父の幸雄さん(同85)は生前、市遺族会の活動に積極的に関わっており、和田さんが遺志を引き継いだ。沖縄には祖父が合祀(ごうし)された慰霊塔がある上、平和を願い、戦没者を悼みたいと行進への参加を決めた。都内に住む長女の梓さん(32)が同行する。
22日に糸満市入りし、平和祈念公園内の平和祈念堂で開かれる追悼行事の前夜祭に出席。23日は行進後、公園で開かれる戦没者追悼式への参列を予定する。
前夜祭で寄贈する折り鶴は、市遺族会が2021年に平和の願いを込めて市内の子どもたちに折ってもらったうちの一羽。桐生、みどり両市に自生する「カッコソウ」の柄があしらわれ、翼の端から端までの長さ約1.2メートル。祈念堂内の平和祈念像に供えられるという。
行進で参加者は、ひめゆりの塔から祈念公園までの約4キロを歩く。市遺族会の蛭沼久男会長(81)は「高齢化もあって会員が参加できなかったので、和田さんの申し出はありがたい。遺族会の活動の活発化にも期待したい」と話した。
和田さんは「終戦から70年以上がたち戦争の語り部が減っており、養成プログラムを受けたいと考えている。戦争の悲惨さを次世代にしっかり伝えなければ」と訴える。
沖縄戦では本県出身者約850人が戦死。祈念公園には沖縄と南方諸地域で戦没した県民計3万771柱を合祀した「群馬之塔」が建立されている。