二酸化炭素(CO2)の削減や群馬県内林業の活性化などを目的に、群馬大発ベンチャー企業「グッドアイ」(桐生市)は、自社開発のウッドチップブロック「GUDブロック」によるプロジェクトの準備を進めている。企業などから寄付を募り、間伐材でブロックを製造して自治体に納める構想。障害者の経済的支援にもつながるとし、同社の板橋英之会長(60)=同大副学長=は「年度内にはプロジェクトを始動させたい」と話している。
「地球と地球上の全ての生命の持続可能性を意識した革新的手法」を意味する英語の頭文字から、「EBiSCoin(エビスコイン)」と名付けられたプロジェクトは、主に首都圏の個人や企業から寄付を受け、県内自治体が寄付額に応じて同社にブロックを発注。同社は県森林組合連合会などを通じ、県内の間伐材のウッドチップを仕入れて製造する。
ブロック(縦30センチ×横30センチ×厚さ6センチ)は、1枚で2キロ分のCO2削減効果がある。独自の加工技術で、銀や銅を吸着させて除草や消臭の効果があるほか、滑りの抵抗値が高いため雨天時の歩行者の転倒リスクを減らせるという。自治体の公共施設の外構などに使用される見込み。
寄付者には、すでに協力について合意を得ている県内の複数の障害者施設で生産された農産物を返礼品として送る。寄付の証明として、県内で使用できる電子地域通貨「エビスコイン」の発行も検討している。
板橋会長によると、これまでに桐生、みどり、前橋太田、安中の5市にプロジェクトへの協力を打診し、いずれも前向きな反応があったという。今後、ほかの自治体にも協力を呼びかけるとしている。
同社はブロックの量産に向け、新たに省人化の製造装置を開発。移動式のため装置を山間部に輸送し、その場で製造できる。板橋会長は「群馬は首都圏の水がめ。このプロジェクトによって、首都圏の資金を地方に還流させ、地域全体で環境や福祉に貢献したい」と期待する。