水鵠衆に所属する(左から)阿城木入彦、七生千慧、拝島去記((C)神神化身/ⅡⅤ)

 小説と楽曲を連動させて物語を進めていくプロジェクト「神神化身(かみがみけしん)」がインターネット上で人気を集め、群馬県前橋市の上野総社神社が物語の舞台のモデルの一つとなり話題となっている。地元の伝承などを基にしたキャラクターを展開し、それぞれの地域活性化が期待されている。

 神神化身は、「カミ」と呼ばれる存在に舞と音曲を奉納する神職「覡(げき)」に就いた青年たちの運命を巡る物語。原作をミステリー作家の斜線堂有紀さん、キャラクターデザインをイラストレーターの秋赤音さん、原案をドワンゴ(東京都)のIP(知的財産)ブランド「ⅡⅤ(トゥーファイブ)」が担当している。

 昨年10月に第1部が始まり、今年4月開始の第2部から登場した覡のチームの一つ「水鵠(みずまと)衆」が所属する「上野国(こうずけのくに)舞奏社(まいかなずのやしろ)」は上野総社神社がモデル。チーム名は的に矢を放って一年の降水量を占う「水的(みずまと)の式」に由来する。同市を訪れた斜線堂さんは「自然豊かで、歩いていると鳥の声が聞こえた。風情のある建物が多く、ここでしか見られないと感動した」と話す。

 水鵠衆は、謎の少年の七生千慧(ななみちさと)、努力家の阿城木入彦(あしろぎいりひこ)、九尾の狐を自称する拝島去記(はいじまいぬき)の3人。甘い物好きの七生は、県内に実在するスイーツ店を食べ歩く。養蚕で財を成した名家の一人息子の阿城木は、困っている人を誰でも助けようとする優しい性格。人の結び付きが強い地元のイメージを生かしたという。拝島は、僧がたたりを鎮めるために九尾の狐が化けた殺生石を割り、破片の一つが上野国に飛来したという伝説から着想した。

 同神社の根岸義貴宮司は「物語の舞台に選ばれ、参拝する人が一人でも増え、地域の活性化につながれば良い」と期待を込める。

 小説は毎週金曜、公式アカウントやブログマガジンで更新されている。同市のほか、神奈川県大磯町、東京都府中市、静岡県磐田市のチームも登場する。3年に1度の舞台「大祝宴」で舞奏を披露しカミを喜ばせると心願が成就するとの設定で、各チームは出場を目指し、動画共有サイトで公開されるそれぞれのオリジナル楽曲の評価を競う。

 斜線堂さんは「読者の温かい言葉が励みになっている。心血を注いで物語を紡ぎたいので見守ってほしい」と話している。