▼平日の午前中、高校生の娘の部屋から男性の声が漏れ聞こえてきた。不審に思っていたら、「リモート授業だから静かにしてて」との書き置きが目に入り、合点がいった

 ▼新型コロナ対策で分散登校となり、登校しない日に遠隔授業があるという。暇さえあればスマホでSNSに興じているからか、端末操作は手慣れたものだ

 ▼17~26歳ぐらいの「Z世代」は、物心がついた時にはスマホが身近にあった。スマホでのSNS利用に慣れ親しむ「SNSネーティブ」とも呼ばれ、生活の一部になっている人が多い

 ▼SNSは人とつながりやすい半面、匿名性が高いことから誹謗(ひぼう)中傷を巡るトラブルが絶えない。文部科学省によると、パソコンや携帯電話を用いた中傷は2019年度に1万7924件に上り、5年前から倍増した

 ▼中傷する投稿者の特定がいかに難しいかを知事会見で知った。ツイッターで「意見や論評の域を超えた人格攻撃」を受けたとして、山本一太知事が住所や氏名の開示を求めて法的手続きをしたところ、開示までに1年近くかかったという。裁判費用も考えれば尻込みする人が多いだろう

 ▼対策強化の一環で、裁判手続きの簡素化や「侮辱罪」の厳罰化が検討されている。本県では被害者を支援する条例が昨年12月、全国に先駆けて制定された。教育や啓発を通じて、誹謗中傷を生まない、許さない雰囲気を醸成していきたい。