▼山を越え、滝を登った先の源流で夜な夜なうたげが開かれる。大きなリュックで持ち込んだ食材と釣ったイワナで作る玄人はだしのつまみに缶ビールをプシュッ。ユーチューブのチャンネル『源流居酒屋』はこの瞬間が盛り上がる

 ▼50の手習いでこの春から渓流釣りを始めた時、釣りの師匠から真っ先にこの番組を紹介された。毛ばりを使った日本古来のテンカラ釣りの魅力と手つかずの自然を相手に本気で楽しむ姿が、釣り方指南の動画とは一味違った

 ▼投稿するのは「たいしょー」こと敦賀正悦さん。密を避けた趣味として釣り人気が高まる中、4万人以上が登録しメディアにも登場する。今年は都内での会社員人生に別れを告げ、同じ趣味を持つ妻の陽子さんと富山県に移住した

 ▼身近に山と川のある生活に憧れての決断だが、原体験は本県にある。小学生時代を前橋市で過ごし、父に連れられて行った渓流で釣りを覚えた。「父の後ろを泣きながら必死についていった」と懐かしむ

 ▼山歩きの基本や訪れた山河は体に染みつき、大人になってから奥利根や吾妻地域をはじめとする渓流を再訪した。本県には絶好の源流がたくさんあるそうだ

 ▼そんな名人がポンポン釣り上げる大イワナを夢見て何十回と出かけてみたが、1年目は山河の美しさを目に焼き付けて終わった。県内の渓流釣りは禁漁期に入り、解禁は来年3月。もう春が待ち遠しい。