▼目覚めたら鼻がぐずぐずしていた。くしゃみも出る。朝晩すっかり涼しくなったのに、いつまでも薄着で寝ているせいで風邪をひいたのだろうか

 ▼ところが、どうも様子が違う。目がかゆい。くしゃみを繰り返し、何度も鼻をかんでいると頭がぼうっとしてくる。この不快感には覚えがある。毎年春に苦しんでいる花粉症ではないだろうか

 ▼その時季が、スギやヒノキの花粉が飛散する春だけではないとは知っていた。調べてみると、花粉症患者の約15%は秋に症状を訴えているらしい。ブタクサやヨモギ、ススキなど身近な草が原因とされ、夏の終わりから10月にかけてがシーズン。まさに今ごろがピークのようだ

 ▼〈秋の野に咲きたる花を指折(およびを)りかき数ふれば七種(ななくさ)の花〉。万葉の歌人、山上憶良が詠んだ2首が「秋の七草」の由来とされる。もう一首では萩、尾花、葛(くず)、なでしこ、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、朝顔の七つを挙げている。尾花はススキのこと。朝顔が何を指すかについては桔梗とする説が有力である

 ▼食べて邪気を払い、一年の無病息災を祈る「春の七草」に対し、秋の七草は眺めて楽しむもの。美しい姿に心も託すのだろうか。万葉集では萩を詠んだ歌が140首余りと圧倒的に多いという

 ▼秋分を過ぎれば夜が長くなり、秋は日一日と深まる。身近な花や漂う香りで季節の移ろいを感じたい。花粉が連れてくる憂うつな症状ではなくて。