前橋育英―桐生第一 後半13分、前橋育英のMF笠柳のパスを受け、抜け出したFW守屋が右足を振り抜き、先制ゴールを決める=正田醤油スタジアム群馬
前橋育英―桐生第一 ゴール前で激しく競り合う育英のDF桑子=正田醤油スタジアム
前橋育英の鋭いクロスに、果敢に飛び込んで好セーブを見せる桐生第一のGK竹田

 高校サッカーの第100回全国選手権県大会は23日、群馬県前橋市の正田醤油スタジアム群馬で決勝を行い、前橋育英が1―0で桐生第一に競り勝った。プリンスリーグ関東でもしのぎを削る好敵手を抑え、2年ぶり24度目の優勝で記念すべき第100回大会の出場権を手にした。12月29日に埼玉県熊谷市の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行う全国選手権1回戦で草津東(滋賀)と対戦する。

▽決勝

前橋育英 1   0―0   0 桐生第一
1―0

 

▽得点者【前】守屋

 ○…前橋育英が持ち前の持久力で接戦を制した。後半13分、MF徳永涼が中盤でボールを奪うと、左サイドのMF笠柳に配球。笠柳のスルーパスを受けたFW守屋が右足でゴールに流し込んで先制点を挙げた。

 桐生第一はMF金沢が長短のパスを使い分け、MF宝船とFW吉田がゴールに迫ったが、堅守に阻まれた。

攻撃の出足で上回る 前橋育英

 基礎を徹底して磨いた先に栄光があった。前橋育英は球際での強さ、攻撃の出足で桐生第一を上回り、終盤まで運動量とプレーの質を落とさなかった。先制点を決めたFW守屋練太郎は「止める、蹴る、走る。当たり前のことをやってきたからこそ、対応力と粘り強さを出せた」と振り返った。

 桐一とは県高校総合体育大会とインターハイ県予選の決勝で戦い、いずれも辛勝。有力校・クラブが集まるプリンスリーグ関東で戦った4月の試合では黒星を喫していた。「1点差の勝負になる」。我慢比べの構えで臨み、焦らず好機を探った。

 堅守を崩し切れずに前半を折り返したが、山田耕介監督は「大丈夫、今のリズムでやろう」と選手の背中を押した。山田監督の想定通り、体力差が出た後半、前線からの守備が機能し始めた。2年生のボランチコンビ、MF根津元輝と徳永涼を起点にカウンターから得点機を何度も築き、攻守の早い切り替えでついにゴールをこじ開けた。

 この日に全力をぶつけるため、20日のプリンスリーグの試合は控え選手で戦った。「だからこそ、絶対勝たないといけなかった」とDF桑子流空主将。入学時から目標にしてきた全国選手権制覇に向け、新たなスタートラインに立つ。「厳しい戦いになるが、目の前の試合に全力を尽くしたい」。8年ぶりに国立競技場で行われる決勝の夢舞台を目指す。

冷静な判断、ピンチ救う 前橋育英・桑子

 前橋育英最終ラインの主将、DF桑子流空が冷静な判断力でチームの危機を救った。先制直後の後半18分、中学時代ともに前橋FCでプレーした桐生第一のFW吉田遥汰に警戒していた裏を取られた。吉田にロングパスが収まる直前、「少しボールが離れた」タイミングを逃さなかった。絶妙なスライディングでシュートを阻止した。

 落ち着いたプレーとは裏腹に、熱い気持ちで臨んだ決勝だった。応援席から見守った昨年の県大会3回戦、2―3で桐生第一に敗れた試合がまぶたに焼き付いていたからだ。その日以来、スマートフォンの待ち受け画面はガッツポーズする桐生第一とピッチに倒れ込む前橋育英の選手の写真。

 「選手権の悔しさは選手権でしか晴らせない。この日のためにずっと続けてきた」。達成感に満ちた表情で振り返った。

終了後、仲間に感謝 桐生第一・金沢

 試合終了を告げるホイッスルが高らかに鳴ると、桐生第一のイレブンはピッチに倒れ込んだ。じっと動かずに悔しさをこらえる選手もいれば、むせび泣く選手も。ただ、主将のMF金沢康太だけは違った。

 突っ伏している仲間一人一人に近づき、そっと肩を抱き寄せた。MF浅田陽太の元へ最初に向かい「去年からずっとボランチを組んだ仲。きょうも最後までよく走ってくれた」と、感謝の気持ちが自然と行動に表れた。

 県高校総合体育大会が1点差、全国高校総体(インターハイ)県予選がスコアレスからのPK戦。全て決勝で前橋育英に阻まれた。「本当はみんなと笑いたかった」と金沢。潤んだ瞳は悔しさと同時に仲間との友情がにじんでいた。