▼一生に一度でいいから参加してみたい―。そんな世界のイベントはないだろうか。祭りかコンサート、それともスポーツや食の分野か。個人的に憧れている二つのイベントが毎年8月末に開かれる

 ▼「ウルトラトレイル・デュ・モンブラン(UTMB)」は仏伊国境の名峰モンブランを囲む絶景の山々を約170キロ走る山岳レース。2009年に本県出身・在住プロランナーの鏑木毅さんと横山峰弘さんが入賞して国内でも知名度が高まった。市民ランナーの夢の舞台だ

 ▼もう一つは米ネバダ州の砂漠で行われるアートの奇祭「バーニングマン」。水や食料は自給自足、電気もなく、携帯電話も通じない。参加者は1週間何らかの自己表現をして生活し、高さ30メートルの人形「ザ・マン」を燃やしてクライマックスを迎える。18年には精神を受け継ぐ日本版が嬬恋村で開かれた

 ▼現実は参加する時間も金もないのだが、情報を調べてはそこにいる姿を思い浮かべる。そんな憧れの祭典も昨年は新型コロナで中止され、妄想のしがいがない

 ▼ことしUTMBは復活したが日本人の参加は難しく、バーニングマンはネット開催。間近に見たいという願いでは東京五輪・パラリンピックもかなわなかった

 ▼いつか三つのイベントが同時期に開かれることもあるだろう。「どれに参加しよう」と、ぜいたくな悩みを味わえるのはいつのことか。2度目のコロナの夏が終わる。