▼日本の新聞の特徴の一つが、どの新聞にも俳壇と歌壇があることだろう。上毛新聞にも毎週たくさんの作品が届く

 ▼上毛俳壇に投句する愛好者が目指すのが上毛文学賞だ。月間賞の受賞者に資格が与えられる。今年の受賞作は中島幸子さんの〈煮こごりの火より離れて澄みにけり〉。締め切り直前まで悩んだという

 ▼苦吟する俳人を横目に、1日で100万句を作ってしまうのが人工知能の「AI一茶くん」だ。北大の川村秀憲教授が研究に取り組み、このほど『人工知能が俳句を詠む』(オーム社)で開発の過程を明らかにした

 ▼最初に小林一茶の2万句をひらがなで学習させた。生まれたのは〈かおじまい つきとにげるね ばなななな〉。意味不明だが、どこかリズムがあった

 ▼テレビ番組で3カ月後に、俳人チームと対決することになった。正岡子規と高浜虚子の5万句を学ばせ、プログラムを改良。〈又一つ風を尋ねてなく蛙〉という秀句を得た。その後の進化は目覚ましい。〈かなしみの片手ひらいて渡り鳥〉と詠んで俳人をうならせ、〈初恋の焚火の跡を通りけり〉と恋の句まで詠めるようになった

 ▼だが人工知能はまだ良い句を選ぶことができない。著者はここに人工知能が人間の仕事を奪うのではなく、共存する未来を見る。〈しだり尾もさみしかりけり夏木立〉。筆者も学んで1年になるが、いつかAI一茶くんのように詠んでみたい。