▼「次は何をすればいいの」「次ハ洗顔デス」―。中国古典を題材にした人気作『封神演義』で知られる漫画家の藤崎竜さんが30年ほど前、「管理者」と呼ばれるコンピューターが管理する都市を描いた短編『タイトロープ』の一幕だ

 ▼住民は個別に持つ端末を通じて管理者に疑問や次の行動を聞き、指示通りに暮らしている。何かあれば真っ先にスマートフォンを使って調べる最近の社会に似ている気もする

 ▼先月、県庁で台湾の唐鳳(オードリー・タン)デジタル担当相が高校生らとオンラインで意見を交わす企画があった。唐氏は天才プログラマーと呼ばれ、アプリ開発を通じて台湾のマスク不足を解消した立役者として知られる

 ▼「人間とAI(人工知能)はいかに共存すべきか」との質問への回答が印象的だった。AIを「人間を支援する知能」として活用すれば共存と繁栄が可能だが、人間に成り代わる知能とし、人間の判断よりAIを信じる使い方は「悪い状態」という

 ▼便利さに依存して何もかも委ねるのではなく、人間がしっかり目的を持ち、その実現を手助けする存在として活用すべきということだろう

 ▼冒頭の短編は終盤に管理者が壊れ、人々が何をすべきか分からず途方に暮れる様子が描かれる。30年前は滑稽に思えたが、今はどこか笑えない気持ちもある。本県を含めて世界中でデジタル化が進む中、唐氏の言葉に考えさせられた。