▼中之条町六合地区で生産され「六合の花」と呼ばれる草花がある。オランダセダムやフジバカマなど200品目以上の総称で花卉(かき)業界では名が通る。いま最も忙しい夏の出荷時期を迎えている

 ▼生産者でつくるJAあがつま花卉生産部会六合支部が半年前、農業分野で一目置かれる「第50回日本農業賞」で集団組織の部優秀賞に選ばれた。国が進める規模拡大や機械化とは別世界の経営形態で、業界に一石を投じたと言える

 ▼花の大消費地、東京の流行や用途を探り、出荷時期を工夫してきた。中山間地の1ヘクタールにも満たない小さな畑だが、所得率を高め専業で生計を立てられる

 ▼「きれいな花に手を出さない」。草花産地を確立するまでのおよそ30年、高く売れる栽培品目を探す中で守ってきた鉄則である。バラやユリなど華やかな主役に対し、どんな添え花がふさわしいか追求し、添え花のスペシャリストを目指してきた

 ▼同支部長の黒岩正善さん(73)は「こんな群馬の山奥で、花の脇役を作り続けてきたことが認められた」と表彰を受け、自信をのぞかせる。コロナ下で輸入花が減少し、この夏は「六合の花が始まって以来の高単価」と喜ぶ

 ▼東京五輪の開会式が終わり、きょうから競技が本格スタートした。テレビを見ると、選手の一挙手一投足が気になる。主役だけでなく、どこか輝いている脇役や裏方に目を配ると、楽しみ方が広がりそうだ。