▼小学生のとき、昆虫標本を作るため夢中でチョウを追いかけたことがあった。どうしても捕まえたかったのはアオスジアゲハ。近所にはいろいろなチョウが飛来したが、それだけはめったに見ることがなかった

 ▼一度だけ遭遇したがチャンスを逃し、ひと夏かけて探したが再び出合うことはなかった。今なら幼虫の餌となるクスノキの近くで待ち伏せするのだが、まだそんな知恵は持ち合わせていなかった

 ▼嬬恋村と長野県東御市にまたがる湯ノ丸高原に絶滅危惧種の貴重な高山蝶がいることをご存じだろうか。本県の天然記念物にも指定されているミヤマシロチョウである

 ▼大きさは5センチほどで、白い羽に黒い筋が走っている。標高1400~2千メートルの渓流沿いや疎林などに生息するが、開発によって次々と姿を消し、現在は4県で確認されているだけだ

 ▼「嬬恋村高山蝶を守る会」会長の宮崎光男さんに案内してもらった。幼虫が食べるのはとげのある低木メギの葉で、糸を吐いて集団で冬を越すための巣を作り、その中で過ごす

 ▼散策していると、ひらひらと優雅に舞うミヤマシロチョウを見つけた。羽化するのは7月から8月上旬で、成虫の寿命はわずか10日ほどだという。守る会では生息調査や下草刈りなど環境整備に取り組む。宮崎さんは「ミヤマシロチョウが飛ぶ姿をいつまでも見られるよう地道に活動を続けたい」と話している。