▼アメリカンフットボールのクオーターバックに「ブーツレッグ」というプレーがある。直訳すればブーツの脚といった意味だが、ボールを腰の後ろに隠すように動いて相手守備を惑わせるフェイクプレーの一種だ

 ▼かつての米国の禁酒法時代(1920~33年)、密造酒をブーツに忍ばせて密売したことが由来とされる。自由の国の印象が強い彼(か)の国も、およそ90年前まで酒の販売を禁じていた

 ▼翻ってコロナ下の現代日本では、東京都で4度目の緊急事態宣言が発令された。飲食店での酒類提供が禁止され、酒販店には提供を続ける店との取引自粛も求めた。県内でも初めて、営業の時短命令に応じなかった飲食店10店に過料を科す手続きが取られた

 ▼ただ、都内ではペナルティーを覚悟で自粛要請に応じない店が相当数あり、応じる店との間の不公平感が日増しに強まっている。酒類提供への規制がこのまま長期化すれば、その効果に対する疑問や、憲法で保障される営業の自由に関する議論も再燃するだろう

 ▼禁酒法時代の米国内では、それまでの酒場の多くが場所や看板を変えて「もぐり酒場」として営業し、結果として以前より酒場の数が増えたという。酒をお上が取り締まることの難しさを物語っている

 ▼コロナ時代の日本で打ち出された対策の何に意味があり、何になかったのか。私たちは早晩、正しく検証しなければならない。