▼夏の和菓子に「水無月(みなづき)」がある。三角形のういろうの上に甘く煮たアズキが載っている。氷を口にして暑気払いをした平安時代の宮中をまね、庶民には手が届かない氷に見立てて作ったのが由来という

 ▼京都では6月30日に食べるのが習わしで、和菓子店ばかりでなくスーパーにも並ぶが、本県ではなじみが薄い。京都で過ごした学生時代、友人が「きょうは水無月の日」と話すのを聞いて初めて知った

 ▼1年の折り返しである。神社に茅(ち)の輪が置かれ、年の前半のけがれを払う神事「夏越の祓(はらえ)」が行われる。アズキの赤色には邪気を払う意味もあり、この日に食べて残り半年の無病息災を願うのだという

 ▼半年を振り返ると、浮かぶのは新型コロナに絡んだ話題ばかり。晴れ着にマスクの成人式。花見もままならず、東京五輪の聖火リレーが1年遅れで県内を通過した。大型連休を前に感染が再び広がり、第4波に見舞われた

 ▼本県の感染状況はようやく落ち着いてきたようにみえる。ワクチン接種の効果もあるだろうが、多くの県民がさまざまな制約に我慢を重ねた末の結果ではないか。飲食や観光をはじめ、事業者の被った痛手も深刻だ

 ▼IOCのバッハ会長が「暗いトンネルの先を照らす光になる」と繰り返してきた五輪がまもなく開幕する。半年後、世の中は明るさを取り戻しているだろうか。これ以上の災厄がないよう祈るばかりだ。