国が進める部活動の地域移行を受け、新事業として受け皿となるクラブの運営に乗り出すと表明していた家電量販店最大手のヤマダホールディングス(HD、群馬県高崎市栄町、山田昇社長)は9日、地域移行を支援する第1号に吉岡中陸上部を選び、9月に事業を始めると発表した。これまで連携実績がある吉岡町でノウハウを蓄積し、全国展開に弾みを付けたいとしている。
同HD陸上競技部が町内に拠点を置くことを縁に、2022年に町と包括連携協定を締結。元五輪選手が同校陸上部を指導する教室などを開き、連携を深めてきた。町も部活動の地域移行に積極的なことから、新事業を軌道に乗せたい同HDと方向性が一致した。
新事業では自治体や学校のニーズに応じられるよう、幅広い支援メニューを用意。陸上競技部の現役選手や出身者らが指導員を務める一方、栄養やけが予防などの座学も取り入れ、競技力の指導だけに偏らない支援を特徴とする。同校陸上部では土日の活動で、これらの支援を行う予定。柴崎徳一郎町長は「子どもの成長にも、教員の負担軽減にもつながる。大いに期待している」と歓迎した。
新事業は公立中学校を中心とした運動部の地域移行を支援し、全国で移行の受け皿となる地域クラブに相当する「ブカツ」を運営する。2年目に20拠点、5年目に170拠点と拡大し、陸上以外にも競技の幅を広げていく。同HDの清村浩一経営企画室長は「全国展開に向け、吉岡中でノウハウを蓄積したい」としている。