▼とうとう今年もやってきた。いまや4人に1人が患者で、国民病ともいわれる花粉症のシーズンである。2月下旬から鼻がぐずぐず、目がしょぼしょぼし始めた

 ▼新型コロナ対策でマスクの着用が常となったから、今年は症状が出ないのではと淡い期待を抱いていた。ところが、季節限定とはいえ30年来の“パートナー”。そう簡単に別れられないらしい

 ▼木に罪はないと思いつつ、スギが恨めしくもなる。県は花粉量が従来に比べて少ない「少花粉スギ」を開発し、2009年から植林している。林政課によると植え替えを終えたのは465ヘクタール。スギの森林は約7万9800ヘクタールあり、まだ一部にとどまるという

 ▼「伐採が進めば、植え替えペースも上がると思うのですが」と担当者。県産材の需要を掘り起こし、積極的な活用を促すことが鍵を握っている

 ▼ただ、森林の管理に頭を悩ませる所有者も少なくない。高崎、安中両市では行政が仲介役となって所有者から預かり、意欲のある担い手に橋渡しする森林経営管理制度が動きだした。モデルケースとして広がるといい

 ▼県土の3分の2を森林が占める本県。豊かな自然は産業ばかりでなく、生活や心身にも恵みをもたらす。木の持つ成分には癒やし効果があるというから森の中での深呼吸もいい。できればコロナも花粉も気にせずに。