▼50、60人収容できる教室の最前列に置かれたパソコンの前に座り、画面に語り掛ける。画面に並ぶのは、受講生の名前やニックネームが書かれたアイコン。顔が見えないため反応が分からず、ちゃんと聴いているのか、誤った資料を表示していないか不安になる

 ▼県内の大学で受け持つ講義が対面から遠隔に切り替わった。大勢の学生が行き交っていたキャンパスは一変し、姿を見掛けることはほとんどない

 ▼文部科学省は十分な感染対策を取った上での対面授業を促しているが遠隔を続ける学校は少なくない。県内の4年制大学16校のうち、5校が後期は「原則遠隔」とした

 ▼22日付本紙「ひろば」欄の投稿が目に留まった。大学教授の男性が、教員と話し合える「授業の合間」が学生には大事と指摘する内容だった。わが身を振り返り対面授業の重要性を再認識した

 ▼1月に緊急事態宣言が発令された東京圏では再度、入構制限をかけた学校が続出した。感染第1波と入学時期が重なった1年生の中にはキャンパスにほとんど足を踏み入れていない人がいるだろう。知り合いの子息は県外の大学に進学した後も実家で暮らしている

 ▼「GoToキャンパス」と銘打ち、大学生が対面授業再開の予算措置を求めて署名活動を展開した。「授業の合間」が当たり前にある日が早く来てほしい。