▼思いもよらない発見に胸が躍った。江戸時代前期に造られた前橋城大手門の石垣の一部が前橋市本町の工事現場で出土したという。見学会に足を運ぶと、強い雨にもかかわらず多くの人々が訪れていた

 ▼一度廃城となり、幕末に再築されながらまた壊されてしまった前橋城の遺構は、ごくわずかしか残されていない。最初の城に関しては、とりわけ少なかった。そんななか、城のシンボルとも言える正門の石垣が出てきたのだから驚かされた

 ▼前橋城についてはこれまで決して市民の関心が高かったわけではない。その歴史や城に関わる先人たちの足跡は半ば忘れられつつあったのが実情だ。しかし近年、歴史文化遺産として大切にしようという機運が急激に高まり、調査研究も深められてきた

 ▼そんな動きが作用したのだろうか。250年余り前から土中にあった“城の語り部”が今になって姿を現してくれたことを心から喜びたい

 ▼石垣は想像していた以上に大きく、城の顔にふさわしい風格を備えていた。市は調査を終えた後に埋め戻し、公開を目指し土地所有者と交渉するという

 ▼近くには同時代の車橋門跡(市指定史跡)の石垣があり、門を復元してまちづくりに生かそうという民間の提案も出ている。大手門と車橋門を合わせて前橋の宝として アピールしてもいいのではないか。