▼特定の地域の代表的な自然、地理、歴史などをよむ郷土かるた。代表格の上毛かるたが盛んな本県は120種類以上が制作され、全国1位を誇る。本紙連載「ぐんま郷土かるた図鑑」を見ると、地域への愛着が感じられる

 ▼時代を映し、戦前は軍事色の濃い札もあった。2000年代に入ると「B級グルメ」も登場する。食育や健康、果実栽培などに特化し、実用的な内容のかるたが生まれた

 ▼全国を調べると、いくつか防災かるたが見つかった。〈寝る場所に落ちてくるものおかないで〉〈ブロック塀地震のときは離れよう〉は高知県。〈もち出しぶくろ年に1回見直して〉は兵庫県で作られた

 ▼13日午後11時7分ごろ、福島と宮城で震度6強の地震があった。本県は最大震度4だった。10年前の東日本大震災の余震で、長い揺れに当時を思い出した人も多いだろう

 ▼物理学者の寺田寅彦(1878~1935年)は〈日本の国土全体が一つのつり橋の上にかかっているようなもので、しかも、そのつり橋の鋼索があすにも断たれるかもしれないというかなりな可能性を前に控えている〉と記す

▼岩手県の小学校が作った防災かるたの〈天災は今すぐにでもやってくる〉も同じ意味だろう。本県も例外ではない。もう一度、備えを見直したい。かるたには大切にしたいものや教訓も詰まっている。