▼自粛生活で人との交流が減ったからか、年初に届いた年賀状や寒中見舞いが今年はことさら心に染みた。文字から伝わるそれぞれの思いや表情、景色がいとおしく、言葉は人の心を支え、力になると改めて感じた

 ▼そんな言葉の持つ温かさを形にした取り組みが利根沼田であった。コロナ禍で分断された人と人をつなごうと、地域住民が『短歌・俳句集』を出版した

 ▼発起人はみなかみ町の仏心寺住職で、歌人・若山牧水を顕彰する地元団体の代表を務める永井一灯さん。活動で知り合った沼田市の田村奈織美さんが賛同し、昨年春から参加者集めを始めた

 ▼田村さんは同町のたくみの里にある散策道「初越はつこえのこみち」で、来訪者が短歌や願いなどを書いて木札を掛ける「風の掲示板」を運営しており、その関係者も協力した

 ▼輪は徐々に広がり、最終的に小学生から90代までの100人から俳句、短歌が2作品ずつ集まった。作風、経験年数はさまざまだが、地域の自然や暮らし、喜怒哀楽が詠まれ、作品からぬくもりが伝わってくる

 ▼「言葉で感動を伝え合い、心の交流ができた。今の時代にものすごく大事なつながりになった」と田村さん。春には掲載作を記した木札を掲示板に掛ける予定という。暖かくなったら新鮮な空気と共に、今を前向きに生きる人たちの言葉を味わいに行きたい。