▼年末、元ラグビー選手急逝の知らせが飛び込んだ。トンガ出身のワテソニ・ナモアさん。享年54。軽快なステップを武器にWTBとして大東大―三洋電機(現パナソニックワイルドナイツ)で活躍した

 ▼どうしても思い出すシーンがある。ほぼ手中にしていた勝利を終了間際に逃した30年前の全国社会人大会決勝・神戸製鋼戦。トライを防ごうと相手を最後まで追走した姿だ

 ▼“三洋の悲劇”を象徴する場面として記憶され、本人も悔しい思いをしたに違いない。ただそれ以上に対戦相手を悔しがらせるトライも量産した。外国人プレーヤーが少ない時代、抜群の身体能力を生かしたキレのある走りに驚かされた

 ▼邑楽町で暮らし、地元と母国の交流事業にも尽力。最近までラグビー教室講師を務めるなど元気な姿を見せていただけに、お別れの会に集まった人たちも衝撃を受け止めきれなかっただろう

 ▼新型コロナウイルス感染拡大の影響で16日開幕が延期されたトップリーグ。近年は海外の一流プレーヤーが続々と参戦、国内のレベルアップに貢献しているが、その先駆け的存在だった

 ▼パナソニックは本拠地を熊谷に移転する。ただ太田、大泉を含めた3市町を「ホストエリア」として連携するという。個性豊かな野武士軍団の遺産をどう生かすか。ナモアさんが空から見守っている。