▼旅先で自宅用の箸置きを探すのが楽しみだ。小田原は寄せ木細工、宇都宮は大谷石と、その土地ならではの伝統工芸や素材を使ったものに手が伸びる
▼会津の赤べこ、飛騨高山の「さるぼぼ」、明智光秀ゆかりの京都亀岡では家紋を模したキキョウなどモチーフで選んだものも多い。写真はスマートフォンで撮ったきり、パンフレットもしまい込んでしまうが、日替わりで食卓に並ぶそれらは、さりげなく旅の記憶を連れてくる
▼伊香保温泉の三つの旅館を会場に「伊香保くらし泊覧会」が始まる。暮らしの道具にスポットを当て、約20人の県内作家による器や花器、織物などを、泊まりながら体験利用してもらう初めての企画だ
▼温泉街には新型コロナの影響が続く。作り手も売り手も厳しい。感染予防と両立させながら集客し、皆が喜べるにはどうしたらいいか。気心の知れた旅館と民芸品店の若
▼競合の旅館が同じプランを販売するのも、作家と連携するのも初めて。コロナ禍だからこそ従来の概念にとらわれず、柔軟な発想が形になったのだろう。4人は「開催して終わりではなく、ここから新しい展開が生まれる」と期待する
▼見たり、買って帰ったり。旅で出合った物たちは思い出を彩る。どこへでも自由に旅を楽しめる日が戻ってくるといい。