▼初詣に初売りなど正月には「初」が付き物。昨年から続く新型コロナウイルス感染症で、控えめにする必要はありそうだが、心新たにそれぞれの「初」を楽しみたい

 ▼「初」に挑む若者がいる。挑戦の舞台は宇宙。キューブサットと呼ばれる超小型衛星の開発に取り組んでいる群馬高専の学生たちだ。10センチ×10センチ×22センチの大きさは通常の衛星と比べて極めて小さい

 ▼宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公募した革新的技術実証衛星2号機のテーマに採用され、イプシロンロケットに搭載される。開発は高知高専などと連携。高専が連携した超小型衛星が打ち上げられるのは初めてという

 ▼超小型サイズから7.5メートルのアンテナを展開するのも世界初。糸を巻くように畳まれたアンテナが宇宙空間で飛び出す。超小型衛星で難しいとされていた高精度姿勢制御装置の搭載も初の挑戦となる

 ▼リーダー役の鈴木颯太さん(20)は「オンラインでの開発で意思疎通が難しかった」と話す。他高専との調整に加え、コロナによる休校中は自宅での作業が続いた

 ▼指導にあたる平社ひらこそ信人教授は「今ここでしかできない何かを見つけてほしい」と期待する。いきいきと真剣に作業する学生がきっとそうであるように「何か」を見つける1年にしたい。衛星は3月にも完成し、年内にも打ち上げが見込まれている。