会長としてあいさつするフィさん(壇上)

 任意団体の群馬県ベトナム人協会(前橋市)の設立総会が26日、県庁で開かれた。ベトナム人や日本人のメンバーをはじめ、前橋、伊勢崎両市など10の協力機関の代表者ら計50人が出席し、門出を祝った。来日ベトナム人が誤情報や悪い誘いに乗せられて犯罪やトラブルに巻き込まれるのを防ぐため、協会は各機関と連携し、正しい情報の発信と国際交流を進めていく。

 会長にはブイ・バン・フィさん(33)=前橋市=が就任。あいさつでフィさんは初来日から12年になる群馬県との関わりを話した。自身は地域社会の一員になり、いろいろな国籍の友人に恵まれたが、まだ多くのベトナム人が孤立していると説明。「個人的に相談に乗るだけでは限界がある。群馬のベトナム人がルールを守り、県民の一員として胸を張って生活できるようにしたい」と設立の経緯や意義を述べた。

 山本龍前橋市長は「同じ市民なのだから、皆で仲良く学び合いたい」と設立を歓迎。ベトナム語の観光案内冊子作りなどを例に挙げて、協会が市政や市民と積極的に関わるよう勧めた。

 臂泰雄伊勢崎市長はコロナ禍では外国人への情報発信に苦心したと振り返り、「協会の構想を聞き、行政だけでなく外国人側も困っていると改めて感じた。伊勢崎には他の国籍の市民もいるので、モデルになるよう協力したい」と語った。

 サッカーJ2ザスパクサツ群馬を運営するザスパは選手との交流試合や、ベトナム人サッカー選手の発掘に向けて同国人を雇用するアイデアもあるとした。東京税関前橋出張所はベトナムからの不正薬物の押収量が過去最多だとして、安易に運び屋を引き受けないよう助言した。県警やぐんま外国人総合相談ワンストップセンター、群馬自動車大学校、群馬総合スタッフの担当者もエールを送った。

 会場ではベトナム料理の試食会もあった。米粉の麺料理「フォー」と、豆やココナツミルクを使ったデザート「チェー」が振る舞われ、出席者は打ち解けた様子で親睦を深めた。

 協会は今後、ベトナム人が行政機関での手続きを自力でできるように交流サイト(SNS)上にベトナム語の各種案内をそろえていく。地域行事への出展やボランティアも予定している。