▼コロナ禍に苦しめられた今年、最も心躍る出来事は綿貫観音山古墳(高崎市)の出土品が国宝に指定されたことだった

 ▼小学生時代、自宅近くにある古墳の石室に入ったときの驚きが忘れられず、記者になってから40年以上、古墳に関わる取材を楽しみにしてきた。なかでも県立歴史博物館にある観音山古墳の人物埴輪の神秘的な表情に殊に強く引かれた

 ▼古墳王国群馬の代表への評価は、この地にある多くの古墳の栄誉でもある。グーグル検索の急上昇ワードランキングで本県のトップが「古墳」だったという。テレビCMで取り上げられたことも重なったようで、うれしい結果だ

 ▼これに刺激を受け、筆者も休日に古墳巡りをする機会が増えた。何度も足を運んだのは総社古墳群(前橋市)だ。国指定史跡をはじめ東国有数の古墳が集中し、見るたびに規模や築造技術に感銘を受ける

 ▼近くには山王廃寺跡など重要な遺跡がある。そんな歴史を刻んだ土地だからこそなのか。江戸時代初め、総社藩主の秋元長朝ながともが荒廃に苦しむ領民を救うため難工事の末に完成させた「天狗岩用水」が「世界かんがい施設遺産」に選ばれた

 ▼農業への貢献とともに、藩主の功績をたたえる碑が農民により建てられるなどの歴史的価値が認められた。先人の気概を伝えてくれる遺産のかけがえのなさを実感する。