▼「これ、私なんです」。10年前の驚きがよみがえってきた。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」がオーストラリアの砂漠に投下したカプセルの回収作業の写真を見た時のことだ

 ▼ヘルメットに防護服姿で慎重にカプセルを扱う様子が写っていた。初代はやぶさの帰還時、JAXAから提供された同様の写真を前に冒頭の発言を聞いた。発言の主は森田真弥さん
 
 ▼富岡市藤木にあるIHIエアロスペースでカプセルの開発に携わり、回収作業に同行。月以外の天体との往復を世界で最初に成し遂げ、持ち帰られたカプセルに初めて触れたのが森田さんだった

 ▼その後、同社の技術者に取材をする機会があった。技術者らは「創意工夫」「知恵」「執念」「あきらめない気持ち」に成功の理由を見いだしていた。同社の技術は今回も生かされている

 ▼初代はやぶさは飛行中、帰還が危ぶまれるほどのトラブルが相次いで発生し、当初予定から3年も遅れる長旅だった。これに対し、今回は「完全にコントロールされたミッションを完遂できた」(国中均JAXA理事)

 ▼初代の経験を生かし、さらに進化させたのだろう。森田さんは10年前、「君たちにバトンを渡したい」と小学生に講話をしている。6日のJAXAの会見でも若い世代が宇宙開発を志すことへの期待が語られた。