自転車の盗難被害が7月末時点で852件発生し、昨年同期と比べて38.3%増えたことが3日までに、群馬県警のまとめで分かった。約7割が施錠していなかった。被害を減らすため、県警は駐輪場に止めてある自転車に、工夫で人に一定の行動を促す「仕掛学」を活用したデザインのタグを付ける啓発を始めた。
1日午前10時半ごろ、伊勢崎市のJR伊勢崎駅高架下の駐輪場。伊勢崎署員らが鍵のかかっていない自転車を探し、ハンドルにタグを付けて回った。約1時間で55台に取り付けた。県警生活安全企画課の福田晶人犯罪抑止対策室長は「持ち主に施錠を促すことで、被害を防止したい」と強調した。
タグは紙製で、愛知県警がデザインした。人の行動を誘導する「仕掛学」と呼ばれる研究を応用。「盗難防止検証中」「盗難追跡対象」などと記されている。追跡を連想させるレーダーのイラストが入り、「小吉 施錠すれば大吉」など、おみくじのような文言も記した。
同県警は1~3月に同県内4カ所で1200枚以上を取り付ける実証実験を行い、昨年10~12月の3カ月間に比べて盗難が約8割減ったという。
群馬県警によると、県内の被害は増加傾向にある。21年は直近10年間で最少の973件だったが、昨年は1359件に増え、コロナ禍以前の水準に近づいた。10月末までの2カ月間、県内16署が被害の多い駅などで重点的にタグを付け、効果を検証する。