▼膨大な数の展示品が並ぶ会場は壮観だ。県立歴史博物館の企画展「綿貫観音山古墳のすべて」の多彩な内容に、圧倒された

 ▼綿貫観音山古墳(高崎市綿貫町)出土品の国宝への指定が3月に決まったのを記念して、出土した副葬品や埴輪はにわなどのほぼ全てを公開。日本の発掘史に刻まれるこの古墳の全貌を概観し、「国民の宝」としての価値を伝えるのが狙いだ

 ▼「銅水瓶どうすいびょう」「金銀装頭椎大刀きんぎんそうかぶつちたち」などの副葬品一つ一つの高度な加工技術にまず目を見張らされた。中国大陸や朝鮮半島と直接のつながりをもっていた可能性を示す資料は、1450年余り前にこの地に生きた豪族の、進取果敢な素顔を生き生きと浮かび上がらせてくれる

 ▼そこで実感するのは、古代人の知恵と技術が凝縮された出土品が今を生きる私たちをいかに勇気づけるものか、ということだ。同展図録の専門家による論考の中に、こんな言葉があった

 ▼甚大な災害などが起きた直後、〈文化財は命に関わらない不用品扱いをされることが多くある〉。しかし、いざ復興の段階に至れば〈地域におけるアイデンティティーとなる文化財が欠くことのできない、むしろ復興の柱ともなる存在〉なのだと

 ▼「古墳王国群馬」の代表例を掘り下げる今回の展示は、歴史遺産が、地域を支える重要な社会資源の一つともなり得ることを伝えている。