▼歌人の斎藤茂吉は1920(大正9)年1月にスペイン風邪にかかった。〈はやりかぜ
▼起き上がれるようになるまで1カ月以上。短歌結社アララギ同人の島木赤彦に宛てた手紙に〈下熱後の衰弱と、肺炎のあどが、なかなか回復せず、いまだ朝一時間ぐらゐセキ、
▼スペイン風邪は18~20年に世界で大流行した。上毛新聞も当時の状況を伝える。〈悪性感冒
▼医師は〈細菌は鼻咽喉粘膜から血液中に進入し発病する〉として、気道粘膜の保護、うがいと消毒の励行、患者の隔離を訴えた。病原体はウイルスだが、当時は細菌と考えられていた
▼東京都で10日、新型コロナウイルスの感染確認が243人に上った。2日連続で過去最多を更新しており、もはや「第2波」とみるべきだろう
▼経済活動とコロナ対策の両立を進める政府は、医療体制に問題はないとして緊急事態宣言の再発令を否定するが、違和感はぬぐえない。スペイン風邪は第2波で死亡率が跳ね上がった。学ぶべき歴史は100年前にある。