▼「安全安心」と聞いてまず思い浮かぶのは、地域の防犯態勢だろうか。上毛新聞のデータベースを開くと、2000年代に入り、治安やまちづくりのキーワードとして度々登場するようになった。「食」に関して使われることも増えた

 ▼30年ほど前は治安や食に関連づけて使われる例は紙面であまり見られず、高圧ガスや火薬など危険物取扱事業者の間で意識を啓発する目的で用いられているのが目立つ

 ▼新型コロナウイルスの影響を受け、多くの場面で安全安心が叫ばれる。需要が大きく落ち込んだ観光分野もしかり。都道府県境をまたぐ移動自粛が19日に全面解除された今、市民の一大関心事と分析するからだろう

 ▼伊香保温泉は衛生管理など受け入れ環境の統一基準を作り、安全安心の温泉地をアピール。県内の青少年教育施設も宿泊再開に際し、感染予防に万全を期す

 ▼変わるのは受け入れ側だけではなさそう。業界団体などでつくる旅行連絡会は「新しい旅のエチケット」を公表し、「車内のおしゃべりは控えめに」と呼び掛ける

 ▼東北地方の温泉に向かう女性は「感染者の出ている東京からの来訪を恐れている人もいるようなので、しっかり対策して心配させないようにしたい」と気を引き締めていたという(21日付)。せめて旅先ではほっと気を緩められる日が来てほしいものだ。