群馬県渋川市伊香保町伊香保の建物解体現場で作業中の男性2人がコンクリートブロック壁の下敷きになって死亡した事故で、事故当時は建物の3面の解体を終え、残り1面となっていた壁が倒壊したことが30日、渋川署への取材で分かった。同署や前橋労働基準監督署は作業の手順や安全確保が適正だったかを調べている。

 渋川署によると、身元が分かっていなかった男性は同市赤城町津久田、アルバイトの男性(63)と判明。男性は、共に巻き込まれて死亡した男性(52)が役員を務めていた会社のアルバイト作業員とみられる。

2人が下敷きになった事故現場を調べる前橋労働基準監督署員ら=30日午後、渋川市伊香保町伊香保

 前橋労働基準監督署は同日、工事関係者立ち会いの下、解体現場の状況を調べた。職員らは崩れたブロック同士を叩きつけて強度を確かめたり、壁の長さなどを測ったりしていた。渋川署によると、ブロックは縦10段、横14列ほど積まれていたとみられる。

 市は9月、この建物を倒壊などの恐れがある「特定空き家」に認定。建物の所有者は市の助言に従い、落下物を防ぐネットを張るなどして対応し、市には「いずれ解体したい」との意向を示していたという。市は解体工事前の10月7日と11月11日、職員による目視で安全を確かめていた。

 亡くなった役員の男性の父親(77)によると、男性は解体作業などに使う道具を借りるため、実家に寄ることがあった。事故の4日ほど前にも実家を訪れ、父親と短い言葉を交わしたという。「いつも泥だらけになって、一生懸命仕事をしていた。『頑張ってるな』と声を掛けたばかりなのに…」と言葉を詰まらせた。