▼五輪・パラリンピックはこれまで多くの逆境に直面してきた。1940年東京、44年ロンドンは戦争の影響で中止になった。東京は戦費が財政を圧迫。大会の準備もはかどらず、返上したとされる

 ▼テロリズムとの戦いもあった。72年ミュンヘン。大会中に武装集団がイスラエル選手団を襲い、計17人が死亡した。「オリンピックはテロリストたちの犯罪によって中止されてはならない」と、大会は継続された

 ▼厳戒態勢の大会が続く。ジェンダー、人種差別、アマチュア規定なども大会を揺さぶってきた。第1回大会は古代オリンピックと同様「女人禁制」。南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)は問題となった

 ▼50代以上の読者だと、ソ連(当時)のアフガニスタン侵攻を受けたボイコットがあった80年モスクワが印象的だろうか。出場を訴える高田裕司氏(太田市出身)ら選手の涙を思い出す

 ▼新型コロナウイルスの感染拡大が世界規模になり、東京五輪・パラリンピックの延期が取りざたされる。感染症との戦いという今回はこれまでの逆境とは全く様相が異なる感じだ

 ▼命の危険や不十分な練習環境、代表選考の状況を懸念し、選手が「NO」と声を上げているのはモスクワとの大きな違いか。大会は「4年に1度」。重い決断だが、今こそ「アスリート・ファースト」でありたい。