▼天井の木目が人の顔に見えて怖かった体験は誰にもあるだろう。逆三角形に配置された3点を顔のように認識するシミュラクラ現象という脳の働きだ。三ツ口のコンセントや自動車などが顔に見えるのも同じ原理

 ▼ただ、顔的なものにスマホのカメラを向けてみても、顔認識機能が作動することはほとんどない。ウルトラマンや仮面ライダー、ロボットなど人型のキャラクターもだいたい同じである

 ▼ヒト的な何かと、明確に人を模したものの差だろうか。県立歴史博物館の企画展「新・すばらしき群馬のはにわ」でスマホを向けた多くの人型埴輪に顔認識が反応し楽しくなった

 ▼鋭い目つき、柔らかな面ざし。1体1体に個性がある。高らかに乾杯しているような「坏(つき)を持つ女子」や膝を折って手を付いた「跪座(きざ)の男子」(ともに太田市塚廻(まわ)り古墳群出土)などのポーズも想像力をかき立てる

 ▼本県の埴輪作りは5世紀後半~6世紀が最盛期。発祥地の近畿でも埴輪が見つかったのは中・大型古墳がほとんどだが、本県では小型も含め少なくとも1700基の古墳で出土した。埴輪王国たるゆえんだ

 ▼埴輪のブランド力を活用しようと県はロゴ「HANI(ハニ)」を商標登録した。民間にロゴを使ってもらい、土産物などを通じて王国をアピールするという。シミュラクラ現象の見本のようなロゴがゆるくていい。人気になりそうな予感がする。