▼〈投書をする見知らぬ若き詩人たちの、はげしくあふれるエネルギーが、(略)密度のある詩となってあらわれることを切望したい〉

 ▼昨年6月に亡くなった前橋の詩人、梁瀬和男さんが、「新しい詩の培養土」と題して、上毛新聞にある詩の投稿欄に寄せる期待をつづっている。実際に上毛詩壇の選者となったのは、10年余り後の1977年4月、50歳のときだった

 ▼以後、体調を崩し退くまで40年間にわたって作品を選び指導を続けた。戦後始まり、高橋元吉、岡田刀水士ら群馬の代表的な詩人たちが担当してきた上毛詩壇の歴史の中で、梁瀬さんの在任は飛び抜けて長い
  ▼最初の講評に、早くも〈作品を書く以前の情感が貧しくないか〉という厳しい言葉があった。その後の梁瀬詩壇をたどってみて感じる特質は、冷静な批評眼と、後進を育てることへの並みはずれて強い情熱である。どれほど多くの人が鼓舞されたことだろう

  ▼先週、梁瀬さんをしのぶ会が前橋で開かれた。ゆかりの人たちが、群馬詩人クラブ、萩原朔太郎研究会の運営や詩誌編集、郷土文人の研究、詩の講義など故人の幅広い業績を語った

  ▼いずれの活動も、先達詩人の作品や詩業への畏敬の念と、その精神を次代に伝えようという使命感が基本にあった。文学遺産の継承に尽くした仕事は、もっと光を当てられていい。