▼子どもの頃、大鍋で作ったジャガイモとネギのみそ汁を何杯もお替わりしたことがあった。当時は食が細かったが、自分でも驚くほどぺろりと平らげた。おいしかった記憶は、40年近くたっても鮮明に残っている

 ▼幼い頃に食べたものの味が味覚をつくる―。映画「いただきます」の上映会が今月、伊勢崎市で開かれた。福岡市の高取保育園を舞台にしたドキュメンタリー。女優の石田ゆり子さんのナレーションを挟みながら、園児たちが夢中で給食を食べる姿に目を奪われた

 ▼玄米ご飯にみそ汁、納豆、旬の野菜など、同園の給食は全て和食。しかも、みそは5歳児が毎月100キロを手作りしているという。よく遊び、よく食べ、元気に育つ様子がスクリーンに映し出された

 ▼上映会は伊勢崎境西中学校運営協議会が開いた。同校は地元特産のゴボウについて理解を深める授業や、生徒が弁当作りに挑戦する「弁当の日」活動を取り入れるなど食育に力を入れている

 ▼「知育・徳育・体育の根源に食育がある」と田島康匡校長。三育の習得には健康な体が欠かせず、健康な体は食事によって作られる。実りの秋を迎え、上映会は身近な恵みに目を向ける機会にもなっただろう

 ▼「食べたものが、わたしになる」。映画のメッセージが心に響く。外食やコンビニに頼りがちな食生活が貧しく思えてきた。