▼千年以上前、いわば「染色のレシピ」があったという。全部で38色分。それぞれに必要な染料(植物)、媒染剤、燃料の分量が記される。「素材-あやびき。染料-はぜ十四斤、すおう十一斤。媒染-酢二升、灰三。燃料-薪八

 ▼このレシピで出される色が黄櫨こうろ。22日の「即位礼正殿の儀」で天皇陛下が身を包んだ古式装束「黄櫨染袍こうろぜんのほう」の色彩である。天皇のみが着用することのできる色という

 ▼レシピは平安時代の法令集『延喜式』巻14、縫殿寮ぬいどのりょうの中の雑染用度ざっせんようどという項目に見られる。高崎市染料植物園の企画展「光を秘めた不思議な色~千年を越えて伝わる色彩~」で知った

 ▼草木染の第一人者で高崎市に住んだ故山崎青樹さんが延喜式の記述に基づき、古代の色彩を再現。同館は色彩再現品38色の反物を所蔵する。即位の礼などで装束の色にも関心が高まっているとして、全色の反物などを展示した

 ▼同館によると、黄櫨はヤマハゼの心材で染める黄色とスオウの赤を重ねた赤みのある褐色。ヤマハゼやスオウに紫外線ライトを当てると、うっすらと光る

 ▼「特別な輝き」「屋外と屋内で見える色が違う」。染めに携わる人がこう表現することもあるという。千年前に目にした人も神秘的に感じたことだろう。10種類の植物で38色出せること、その色鮮やかさにも驚く。企画展は12月1日まで。