ハクチョウが姿を消した花火イベント翌日の城沼=11月28日(提供写真)
城沼に集まるハクチョウ=11月30日午前7時20分ごろ

 「冬場の花火はハクチョウに影響はないの?」との質問が寄せられた。11月末、群馬県館林市の城沼にある飛来地近くで花火イベントがあり、羽を休めていたハクチョウが一時姿を消す事態になったためだ。地域を元気づけようと企画され、本格的な飛来シーズンを避ける配慮をしたが、市民の中には戸惑いの声も。専門家は「ハクチョウが危険な環境と認識してもおかしくない」と指摘しており、主催団体や後援した市は場所や時期を検討する考えを示している。

 花火は27日夜、城沼から約1.5キロの地点で打ち上げられた。同市に飛来するハクチョウは城沼と多々良沼を行き来し、多くが夜から翌朝にかけて城沼で羽を休める。だが、ボランティア団体「城沼白鳥を守る会」の関係者らによると、同日は花火の光と音に反応して約30羽全てが飛び立ち、翌朝も戻ってこなかった。

 その後、同会が29日朝に18羽が戻っていることを確認。記者が現地に行った30日午前7時ごろにも、二十数羽がいた。ハクチョウが姿を消したことに驚いたという市内の女性(60)は「徐々に戻ってきてくれてほっとした」と話す。

 花火はコロナ下でイベントが相次いで中止になったことを受け、館林青年会議所が地域を明るく元気づけようと昨年に続き企画。クラウドファンディングで資金を募り、支援者に花火の打ち上げ場所と日時を伝える形で行った。同会議所の担当者は「1~2月の本格的な飛来シーズンを避け、ハクチョウについては考慮に入れた中での総合的な判断だった」と説明する。

 市民の反応はさまざまだ。10日ほど前に近隣住民にも実施日が伝えられると、市に「今年もやるのか」「なぜハクチョウのいる沼の近くで」などといった問い合わせが十数件あったという。同会の坂村孝会長(85)は昨年も花火後にハクチョウが3日間、姿を見せなかったため開催時期の検討を申し入れたとし、「地域を元気づけるイベントは歓迎するが、環境にも目を向けて相談してほしかった」と注文をつける。

 一方、日課で沼を訪れている市内の50代男性は「驚いて逃げてもまた戻ってくるから、心配するほどではないのでは」と話した。

 野生動物に詳しい県立自然史博物館(富岡市)の姉崎智子さんは、花火の大きな音や光が連続して発生する状況は、夜間に睡眠をとるハクチョウにとっては安心して過ごせない環境と指摘。「警戒心の強いハクチョウが危険に感じ、生息適地でなくなる可能性は高い」と警鐘を鳴らす。

 こうした指摘や反応を受け、打ち上げ場所を提供するなどイベントを後援した市は「ハクチョウへの配慮は不足していた。今後は場所や時期をずらすなど検討したい」としている。

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