▼長い時間待ったのに診察は数分。さらに会計や薬局で待たされて、あっという間に半日終わってしまう。誰にも経験があるのではないか

 ▼近くに病院がなく、移動手段は公共交通機関だけ。施設に入居しており、付き添いも必要。こうしたお年寄りには、薬をもらうための定期的な通院でさえ、半日どころか1日がかりの大仕事となってしまう

 ▼負担軽減につながると期待されるのがオンライン診療である。国は今年5月、受診機会が十分でない地域に限り、医師が常駐しないオンライン診療所の開設を認めた。これを受け、県はモデル事業を展開、南牧村で試験運用に取り組んでいる

 ▼診察を見学させてもらった。村活性化センターと下仁田厚生病院、薬局をビデオ会議システムでつなぎ、お年寄りはモニターを通して受診、服薬指導も受けた。薬は新聞販売店従業員に届けてもらい、代金を支払った

 ▼スマホやパソコンの操作はなく、不慣れな人でも問題ない。声が聞きづらかったり、医師はお年寄りが歩いたり座ったりする様子を見ることができないなど改善の余地はあるが、病院に行くよりはるかに短時間で済む

 ▼医師不足や交通の便が悪い地域で役立ちそう。オンラインには限界があり、対面診察が重要なことは変わらない。それぞれの長所を生かし、必要な人に適切な医療を提供できるシステムが、早く確立されることを願っている。