今年で生誕130年を迎えた群馬県前橋市出身の詩人で、煥乎堂書店2代目社長として本県の芸術文化をけん引した高橋元吉(1893~1965年)の足跡をたどる企画展「空ぢう虹になれ 生誕130年記念高橋元吉展」が12月3日まで、同市の前橋文学館で開かれている。元吉の詩や書画といった資料40点近くを紹介している。
■煥乎堂社長に
元吉は1893年3月6日に煥乎堂の次男として誕生。旧制前橋中(現前橋高)を卒業後、東京・三省堂の社員を経て、父の常蔵が経営する煥乎堂で働き始めた。父の跡を継ぎ、株式会社化した煥乎堂の初代社長となった兄の清七が早世すると、自身が2代目となり店を引き継いだ。
生前に刊行した詩集は4冊。「遠望」「耽視」「耶律」「高橋元吉詩集」。4冊の現物を展示しており、特に第1詩集の「遠望」には、交流が盛んだった同郷の詩人、萩原朔太郎に向けた謹呈の署名も記されている。朔太郎は、元吉の旧制前橋中入学当時、同校5年に在席していた。
戦後は煥乎堂を経営しながらも県内の文化活動を推進し、時には経済的な援助にも取り組んだ。没後は親友の彫刻家、高田博厚の設計で詩碑が寄付金で建てられ、余剰金を基金とした「高橋元吉賞」も1967年に設けられた。「高橋元吉文化賞」と名を変え、2004年まで続いた。